ながらの座・座

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古庭園大人ライブ VOL.59

笹沼樹「無伴奏チェロ・コンサート」
チェロ1本から生まれる音楽の宇宙

2023.05.28(日)15:00〜お知らせ, 主催イベント, 大人ライブ, 記録・レポートsold out!!

笹沼樹「無伴奏チェロ・コンサート」

2023年 5月28日㊐ 15:00開演 (開場は開演の30分前)

座・座初登場の注目の若手チェロ奏者です。
勢いに満ちた演奏は、新しい時代の到来を予感させ、
その「おと」は自信に溢れ、来るべき時代はきっとこんなところから生まれるのでしょう。

出演
 笹沼樹(チェロ)

曲目
 黛敏郎:無伴奏チェロのため「BUNRAKU」
 J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲より
 ほか

会場
 ながらの座・座(〒520-0035 滋賀県大津市小関町3-10)→Google Map

定員
 50名様 ※チケットは完売いたしました

参加費
 一般:6,000円/学生:3,000円(20歳位以下) 1,000円(小・中・高)
 ペアチケット:10,000円(2名/人数限定あり)

☞チラシ:PDFファイル [4.2 MB]

会 場:ながらの座・座
    〒520-0035 滋賀県大津市小関町3-10(Google Map
    Tel&Fax: 077-522-2926 Mobile: 090-8576-7999(代表・橋本敏子)

主 催:一般社団法人文化農場(ながらの座・座)
後 援:滋賀県 滋賀県教育委員会 大津市 大津市教育委員会 文化・経済フォーラム滋賀
特別協賛:中山倉庫株式会社 滋賀石油株式会社

笹沼樹「無伴奏チェロ・コンサート」

Special Report

音楽ジャーナリスト・佐藤千晴

 「ながらの座・座」に28歳のチェリスト笹沼樹が登場した。タイトルは「ゆさぶる」。
 初めて訪れたという座・座でのプログラムに彼が選んだのは、バッハの無伴奏チェロ組曲第1番・第3番と黛敏郎の「BUNRAKU」。全て庭園で演奏した。穏やかな好天に恵まれ、新緑と五月の風と、野鳥の声と共に流れるチェロの音色を全身に浴びるようなひとときだった。

 最初の「無伴奏チェロ組曲第1番」は、池の中の浮島で弾いた。スペースの関係で、座敷の観客に正対できず、左半身を向けての演奏。日本家屋や野外は音が「響かない」と言われるが、木々や池の水面に音が反射するせいか、とても気持ちよく聴こえた。
 「音楽専用ホールなら、エンドピンから床に、そこから壁や天井にも響かせ、観客を包み込むイメージで音を創る。座座では直接、観客に向かって音を届ける」と終演後に笹沼は語った。

 2曲目からは「一の間」に近い池のほとりに演奏の場を移した。
 「BUNRAKU」は黛が人形浄瑠璃文楽の太棹三味線にインスパイアされ、1960年に発表した無伴奏チェロのための作品。今や世界のチェリストのレパートリーになっている。三味線の激しい響きだけでなく、義太夫語りの息遣いや、人形の動きを想起させるフレーズも聴こえてくる。文楽好きにはとても楽しい。文楽を知らずとも、チェロの多彩な技法が味わえる作品だ。特に低音の豊かな響きが印象的だった。いま笹沼が弾いている宗次コレクションから貸与されたC.F.Landolfiは、のびやかな低音が持ち味の楽器とのこと。作品と演奏の息が合った。

 休憩を挟んでバッハの第3番。昨年、バッハの無伴奏組曲全6曲のコンサートに取り組んだ笹沼は、6曲を「誕生から受難、そして祈り・救済へと至る物語」ととらえたという。座座での演奏には、明るい長調の2曲を選んだ。彼のイメージするタイトルは第1番が「すべての始まり」、3番は「喜び、希望の陽の光がさす大河」。ともに明るい長調、初夏の午後の柔らかな日差しとよく似合った。
 が、アンコールに弾いた第5番の「サラバンド」は一転して荘厳な曲調。その深みもまた、座・座の空間と調和した。
 いつの日か、笹沼が弾くバッハの全6曲を座・座で聴いてみたい。

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