新型コロナウイルスによる「徹家の音楽会・夏至の〈座・座〉部屋」公演延期のお知らせ
2020.04.10(金)【お知らせ】
徹家の音楽会・夏至の〈座・座〉部屋(徹夜の音楽会2 の進化形)
新型コロナウイルスのため、6月21日(日)、22日(月) に開催を予定していた「徹家の音楽会・夏至の(座・座)部屋(旧・徹夜の音楽会2)の公演を、延期とさせていただきます。
1年後の開催を目指し、プランをさらに発酵させ、皆様と再会できることを願っています。
なお、本年中に予定しています他の公演は、状況が変わり次第お知らせいたします。
ここに至る経緯と考え方を、野村誠さんが書いてくださいました(参照)。
ぜひお読みください。現時点では来年の実施日は確定していませんが、今年ご参加してくださる予定だったのは次の方々です。
いしいしんじ(作家) 井上信太(アーティスト) 竹澤悦子(地歌箏曲家)
田島隆(タンバリン奏者) 松田哲博(元・一ノ矢/高砂部屋マネージャー)
野村誠(作曲家) その他・未確定の方1名
Special Note
徹家の音楽会
夏至の〈座・座〉部屋
2年前に初めての「徹夜の音楽会」を開催した。名前に「徹夜」とつけたが、実際には、日帰りコースと宿泊コースがあった。宿泊コースでは、修学旅行のように布団を敷き詰め、就寝の時間にいしいしんじさんと「寝つき小説・寝つき音楽」をやったし、翌朝、佐久間新さんと朝の体操をした。本当に濃密な時間だったが、次から次に起こる出来事に対応するのは大変だった。こんな大変な企画、最初で最後だろうと思っていたら、ながらの座・座の橋本敏子さんから「第2弾をやりましょう」と提案があった。喉元すぎれば、またやれる。楽しい記憶ばかりが思い出される。さあ、第2弾だ。さて、第2回はどんなアプローチで臨もうか。
そこで考えたのが、「徹夜」でなく、「徹家」だ。徹底的に、家を遊び尽くすのだ。前回は、時間に焦点を置いた「徹夜」だったが、今回は、空間に焦点を当てた「徹家」でいこう。家のあらゆる空間で、同時多発でパフォーマンスが起こる。全方位型だ。
こんなアイディアが思いついたのは、企画を準備中に新型コロナウイルスが拡散し、ぼくたちが集う予定だった多くの機会を次々に奪われたからかもしれない。密集して閉塞した空間でのイベントではなく、開放して点在するイベントのありようを考えよう。観客が一つの空間に留まるスタイルではなく、座・座の障子や襖を開け放ち、それぞれが自由に分散し、同時に別々の空間で別々の出来事に出会うという形式だ。
ながらの座・座に、とんでもない親方衆がやって来る。ジャンルは様々で、相撲部屋からも、タンバリン部屋からも、そして、羊飼い絵画部屋、小説部屋、地歌部屋、作曲部屋、‥‥。当日は、親方たちの本領発揮だ。大広間と廊下と庭と畑と玄関と床の間が共振する場が鳴り響く音楽会。実際にどんなプログラムが起こるかは、当日のお楽しみなのだが、ぼくの現時点での脳裏に浮かぶ光景はこうだ。小説と小説ががっぷり四つになる。タンバリンの庭と三味線の部屋が呼応する。畑は土俵になり、四股は音楽となり儀礼となる。床の間の掛け軸が楽譜となりバンドになる。古庭園はキャンバスになる。タンバリンは小説になり、小説は地歌になり、地歌は相撲になる。ちゃんこを食しながら、語り合う座が生まれる。
ウイルスで部屋に籠城を強いられた我々が、一年で夜が最も短い夏至の日に、音楽で小説で美術で相撲で、(接触せずに)濃厚に交わる〈座・座〉部屋を開くのだ。門を開き、心を開く夏至(みじか夜)の〈座・座〉部屋。そんな6月21日が到来することを祈念して、ベストを尽くして準備している。お会いできることを楽しみに、お待ちしております(ただし、先が見えない情勢なので、状況により、企画の実施の仕方は、柔軟に変更するように考えます。お客様と出演者とスタッフが不安なく安心して開催できる最善の方法を見つけていきます。どうぞよろしくお願いいたします。)
上記のようにフライヤー作成のために原稿を書いてから、1週間が経ち、収束に向かって欲しいというぼくの願望と反して、新型コロナウイルス の感染拡大が次々に明らかになっていった。「徹家の音楽会 〜夏至の〈座・座〉部屋」を開催するからには、妥協をせずに、思う存分やりたいのだが、観客、出演者、スタッフの安全を確保しながら行える見通しが立たないので、一年後に延期することにした。一年後には、無事に開催できる世の中になっていることを願い、これからの一年を乗り越える経験と知恵を結集して、2021年の初夏には「徹家の音楽会」を開催したい。それまで皆さん、どうか健康で無事でいてください。座・座での再会を楽しみに、じっくり力を蓄えます。