古庭園大人ライブ VOL.43
庭と音楽II 吉田誠クラリネット・ソロ・コンサート
耳で視る躍動、目で聴く歌
2018.09.22(土)18:00〜(20:00交流会)・9/23(日) 14:00/18:00〜【お知らせ, 主催イベント, 大人ライブ, 記録・レポート】 sold out!!
2018年
9月22日(土) 18:00開演(20:00から交流会:詳細は下記まで)
9月23日(日) 14:00/18:00開演(2回公演)
すべて完売しました
昨年大きな評判を呼んだクラリネット・ソロ・コンサート「庭と音楽」の第二弾。
今回は「うた」と「踊り」に焦点をあて、古庭園を舞台に見立てたプログラミングで、ながらの座・座でしか味わえない、かってない体験をお届けします。
曲目:
藤倉大:Rubi(co)n〜クラリネットのための100の音(2006)
GO〜ピアノと管楽のための より 第5楽章 クラリネット独奏曲(2016)
J.S. バッハ:無伴奏フルートのためのパルティータ イ短調 BWV1013 より
フランコ・ドナトーニ:クレール(1980)
イーゴリ・ストラヴィンスキー:クラリネットのための3つの小品(1919)
パブロ・ピカソのために(1917)
ブルーノ・マントヴァーニ:バグ〜クラリネット・ソロのための(1999)
カール=ハインツ・シュトックハウゼン:小さな道化師 (1975)
ルチアーノ・ベリオ:リート(1983)
北爪 道夫:かたりべ〜クラリネット・ソロのための(2018)
イエルク・ヴィトマン:三つの影の踊り (2003, rev. 2011)
出演:吉田誠(クラリネット)
会 場:ながらの座・座
定 員:各回40名(*交流会は20名:9/22公演参加者の方)
参加費:4,500円(一般) 2,000円(学生18歳以下・先着若干名)すべて完売しました主 催:元・正蔵坊と古庭園を楽しみ守る会(ながらの座・座)
後 援:滋賀県 滋賀県教育委員会 大津市 大津市教育委員会 文化・経済フォーラム滋賀
助 成:公益財団 朝日新聞文化財団
☞チラシ:PDFファイル [1.9 MB]
Movie
吉田誠からメッセージ(YouTubeで見る)
「庭と音楽II」吉田誠クラリネット・ソロ・コンサート
「耳で視る躍動、目で聴く歌」を語る
Special Report
「吉田誠 クラリネット・ソロ・コンサート -庭と音楽II 耳で視る躍動、目で聴く歌」
二年ぶりに、ながらの座・座で吉田誠のクラリネット・ソロ・コンサートを聴いた。 虫の音を聴きつつ、陽が落ちたら月を愛でつつ、夜風を感じつつ、クラリネットの音楽、響に出会うという、贅沢な時間である。本当に不思議なことに、この空間は聴く者の耳の感性を解放し、自然に対して開いてくれる。
今回のプログラムがまた素晴らしい。藤倉大、フランコ・ドナトーニ、マントヴァーニ、ストラヴィンスキー、シュトックハウゼン、ベリオ、ヴィドマン。このバラエティに富むプログラムをつなぐテーマは「歌」と「踊り」である。シュトックハウゼンの「小さな道化師」では、奏者がピーターパンに扮して会場を動きつつ、点在する楽譜を演奏していくような演劇的な要素もあり、マントヴァーニの「バグ」やヴィドマンの作品のように、音による「ユーモア」の要素も楽しかった。先回の「消された声」で寄せて頂いた折にも感じたことだが、こういう場所で、現代音楽に、現代音楽と構えずに出会えたら、現代の音楽にとっても、観客にとっても、それはまさに至福の出会いだろう。(消された声|大田美佐子)
吉田誠のクラリネットの音はpppからfffまでとダイナミクスの幅が広いだけでなく、音色の種類も豊富である。2016年のコンサートでも、吉田誠のクラリネットは、クラリネットを超えて、自然を吸い込んだ様々な「声」で歌い、その特異さは際立っていたが、今回は特に現代の特殊奏法を駆使した多様な楽曲で、様々な歌声を堪能できた。そして、その「踊り」は、クラリネットを超えた、なんとも柔らかな曲線を描いた。演奏後の話で、彼の志向がウィーンの音楽にあると聞いて深く納得した。そして、「ながらの座・座」のこの空間だからこそ、そんな音の微細な差異が、聴く者の開かれた耳に、確かに届いているという実感があった。
演奏会の後は交流会に参加させて頂いた。聴いていた皆さんと歓談し、美味しい料理に舌鼓。ここで聴いた音楽の価値を共有し、共に価値を育くんでいくことの楽しさを分かち合う。こういったサロンのような場があることは、地元にとっても、音楽家、音楽愛好家にとっても幸福である。
11月18日は、ZAZA カルテットによるベートーヴェン弦楽四重奏の全曲演奏会。最終回で8番と15番が演奏される。晩秋のながらの座・座でしか味わえない、場がもたらす音楽との新しい出会いを体験しに出かけたい。