ながらの座・座

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大人ライブLive & Performance

古庭園大人ライブ Vol.33

今の音楽 居間の音楽Ⅲ

2016.09.11(日)14:00〜お知らせ, 主催イベント, 大人ライブ, 記録・レポート

今の音楽 居間の音楽Ⅲ

2016年 9月11日(日) 14:00開演(13:30開場)

第1部:コンサート
座・座5周年を祝って、ただ今、野村誠が新曲書き下ろし中。
野村誠(作曲・鍵盤ハモニカ) エンリコ・ベルテッリ(打楽器) 
やぶくみこ(グンデル) 松澤佑紗(箏)
座・座5周年の秋の一番手は「今の音楽 居間の音楽」シリーズ。今年で3回目。
野村誠に共鳴する新進気鋭の音楽家たちが生み出す旬の音楽、ライブ感たっぷりのコンサートです。

第2部:音楽家と話そう──野村誠のアタマの中を覗く
ナビゲーター:佐藤千晴(フリージャーナリスト)+参加者
創作のヒミツ、演奏のヒミツに触れるトークタイム。誰もが聞きたかったコト、ナンでもこたえます。
ナビゲーターは、フリージャーナリストで座・座をずっと見守ってくださっている佐藤千晴さん。

9月8日(木) クルーズ&船上ミニライブ(浜大津港〜琵琶湖湖南航路)☞詳細はこちら

定 員:40名
参加費:前売:3,000円 当日:3,500円
会 場:ながらの座・座
    〒520-0035 滋賀県大津市小関町3-10(地図
    Tel&Fax: 077-522-2926 Mobile: 090-8576-7999(橋本)
申込み:お問い合わせフォームよりお申込みください。
    *未就学のお子さまの参加はご遠慮ください。

主 催:元・正蔵坊と古庭園を楽しみ守る会(ながらの座・座)
後 援:滋賀県、滋賀県教育委員会、大津市、大津市教育委員会、文化・経済フォーラム滋賀
協 賛:琵琶湖汽船株式会社

☞チラシ:PDFファイル [998.4 KB]

会 場:ながらの座・座                               
申込みフォーム申込み:下記いずれかの方法でお申込みください。
    ①お問い合わせフォームよりお申込みください。
     メッセージ欄にご参加人数も合わせてご記入ください。
    ②FAX 077-522-2926 氏名/参加プログラム名/日時/連絡先/人数の記載必須

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主 催:一般社団法人文化農場(ながらの座・座)
後 援:滋賀県 滋賀県教育委員会 大津市 大津市教育委員会 文化・経済フォーラム滋賀
特別協賛:中山倉庫株式会社 滋賀石油株式会社

今の音楽 居間の音楽Ⅲ

9月8日(木) 14:30〜
クルーズ&船上ミニライブ(浜大津港〜琵琶湖湖南航路)行ないます。

本番に先立ち、船上ライブを行ないます。船は「megumi」。

【時 間】浜大津港発 14:30
【乗船料】1,960円(大人)(座・座ライブとは別途乗船券をお求めください:浜大津港で)
【出 演】野村誠・エンリコ・ベルテッリ・やぶくみこ
【協 賛】琵琶湖汽船株式会社

Special Report

「今の音楽 居間の音楽3」ながらの座・座 野村誠 やぶくみこ Enrico Bertelli 松澤佑紗
2016年9月11日 小暮宣雄 こぐれ日録(つれづれの芸術鑑賞メモ【こぐれ日乗】

すごい建築遺産の「ながらの座・座」コンサート会場へ。5周年ということで、9月は毎週のように公演をされると橋本敏子さん、ほんとうに自らおっしゃるように「暴走老人」(NO-MAの展覧会企画にあったなあ)なり。
「今の音楽 居間の音楽Ⅲ」、14時から17時少し前まで。野村誠、やぶくみこ、Enrico Bertelli、松澤佑紗の演奏会。

蒸し暑い。いささか早く上栄町下車。来月、企画を行う予定の美術家かなもりゆうこさんに出会う。いつもながら繊細なチラシである。

開場、どこで聴こうかと迷ったが、前に座った場所(藤浩志さんの痩せ犬の隣)と逆に一番奥の最前列へ。
箏が合奏になると少し音が聴きづらいという難点はあったが、入り口よりも暑くなく、お庭の池もよく見え、とくにやぶくみこさんのグンデル演奏ではあまりの正面で照れるほど。

ジョン・ケージの「リビングルームミュージック」が今、日本の滋賀の居間へと繋がっているのね。沈黙のときに聴く小鳥のさえずり、鯉の水音、そして、無粋な飛行機の音もまたこころに残る。

以下、「今の音楽 居間の音楽Ⅲ」ながらの座・座について、プログラムと少しの感想。

<プログラム>

1 野村誠作曲「鍵盤ハーモニカ・イントロダクション」
演奏:野村誠(鍵盤ハーモニカ)
・・・ケンハモの特殊演奏も披露。浅く押して強く吹くとピッチが少し下がるというのは試してみなければと思う。

2 野村誠作曲「せっしゃエンリコでござる」(2016) 
演奏:野村誠(声)、Enrico Bertelli(声)、やぶくみこ(声)
・・・言葉の分解遊び合唱。エンリコさんが初めて覚えた日本語会話がこれであったことから。座座も入って、どこか江州音頭的なノリでもある。

3 「即興演奏」
演奏:松澤佑紗(箏)、野村誠(鍵盤ハーモニカ)
・・・二人が向き合うように。箏って、現代音楽風になったと思ったら、これぞ箏曲っていう響きになったりする。自分の耳が箏曲の繋がりを忘れられないからかも知れないが。いつも思うが、箏ってどの部分が響いて、その波長はどう届くのかと思ったりして。エンリコさんとやぶさんのパーカッションが入ると、ラテンになったり賑やかに(このとき、箏の音が自分の場所には届きにくいなと思ったが、ここだけだった)

4 野村誠作曲「山寺にひびく音」(2016)
演奏:やぶくみこ(グンデル)
・・・結構長い曲なのによく覚えているなあ、とか感心しながら聴く。青銅の響きを止めるというしぐさがあるので、マリンバのように音階を遠く飛ばすのはできないのだそうだ。結構大変そう。でも、やぶさんは1週間でできますといって客席から驚きの波。

5 野村誠作曲「きせかえコンチェルト第2番」(2016)
演奏:松澤佑紗(箏)、野村誠(鍵盤ハーモニカ)、Enrico Bertelli(打楽器)、やぶくみこ(打楽器)
・・・独奏部分をそのままにして、合奏を替えたり、また独奏部分を替えたりのことで「きせかえ」だそうだ。

  休憩

6 野村誠作曲「まえまちアートセンター」
演奏:野村誠(鍵盤ハーモニカ)、Enrico Bertelli(打楽器)、やぶくみこ(打楽器)
・・・パンフとは違う順序。これで休憩からのつなぎとなる。第2部で「まえ(前)」「まち(待ち)」「ア(「あ」という声)「ト(戸、襖など)」「センター(戸に集まる)」の解説あり。山口にあるアートセンター(レジデンス?)だということ。

7 野村誠作曲「りす」(2000)
演奏:松澤佑紗(箏)
・・・16年前のお手紙交換から生まれた作品。お習字も作曲になる。「す」の第一画がすーって弦をする。いつこのする音が来るのかと待っている身体あり。

8 「テーブルデュオ」
演奏:やぶくみこ、Enrico Bertelli
・・・即興でひたすらテーブルを叩く。持ち上げると音がこもる。次はどんな手で打つのか、それをずっと楽しみにして観る。そして、ちょっと音色を聴く。演劇的な音楽という感じあり。

9 野村誠作曲「ポーコン第3楽章」(2011)
演奏:松澤佑紗(箏)、野村誠(打楽器)、Enrico Bertelli(打楽器)、やぶくみこ(打楽器)
・・・ポータブルコンチェルトの略。野村さんは、タンバリン演奏。打楽器は難しいと松脂を丹念に周囲につける。

10 野村誠作曲「手拍子のロンド」
演奏:松澤佑紗(箏/手拍子)、野村誠(鍵盤ハーモニカ/手拍子)、Enrico Bertelli(打楽器/手拍子)、やぶくみこ(打楽器/手拍子)
・・・ロンド形式。手拍子にはじまり、手拍子でなくなって、最後はまた手拍子に戻る。

第2部 音楽家と話そう・・・「野村誠のアタマの中を覗く」
ナビゲーター:佐藤千晴(フリージャーナリスト、大阪アーツカウンシル統括責任者。元文化畑の朝日新聞記者)
・・・エンリコさんが、4拍子というのは、700年の歴史があるといっていたが、これは西欧中世の音楽では3拍子しかだめだったからだそうだ。また、大相撲の櫓太鼓はかなり複雑な変拍子だったりすると野村さん。リズムということをこの演奏会ではけっこう感じとることができたのもまた興味深い。

すこし暮れるのが早くなったなあと京津線で電車を待つ。
夕方をちゃんと味わうということも久しぶりな気がした。

「鍵盤ハーモニカ・イントロダクション」演奏:野村誠 「せっしゃエンリコでござる」(2016) 演奏風景

「即興演奏」 演奏:松澤佑紗(箏)、野村誠(鍵盤ハーモニカ) 「きせかえコンチェルト第2番」メンバー勢揃い

「テーブルデュオ」 演奏:やぶくみこ、Enrico Bertelli 大喜び

今の音楽 居間の音楽Ⅲ トーク 座・座のフライヤー群で作られた「軸」のかかった会場

Special Report 2

2016年10月19日 橋本敏子(ながらの座・座)

 座・座が継続して行なっているプログラムは2系列ある。一つはZAZA Quartetのベートーヴェン弦楽四重奏全曲演奏で、6年がかりで弾き終える計画で今年が4年目。座・座の活動の柱だ。もう一つがこの「今の音楽 居間の音楽シリーズ」である。
 野村誠さんの活動に関心を持ったのは十数年前の動物に音楽を聴かせるプロジェクト「動物との音楽」がきっかけかな。とにかくかなり前からマークしていたヒトだった。ちょっとどこにもいない、気になる仕事をしている少数のアーティストたちの一人として。

看板 音楽か、そうでないか、は私の場合あまり重要ではない。直感的にイケテルか、どうかである。この自分の直感はかなり信用していて、いつか一緒に何かしたいなと運命の時が巡ってくるのを待っていたのである(なんか、魔女が仕掛けをしてじっと待っているみたい)。なんやかんやありまして、2014年に念願の第1回公演が実現。その時からエンリコとやぶくみこさんとの共演でスタート、2回目の昨年は箏の松澤佑紗さんが加わってコンサートの幅と奥行きが新たに生まれ、今年は同じ顔ぶれでオール野村作品で構成するというデラックス版になった。さらに、第二部として佐藤千晴さんナビゲートによる「野村誠のアタマの中を覗く」というトークプログラムも実現することができたのだ。
 野村さんたちが3年継続していただいたことで、座・座という場とそこに集う人々がそれぞれの音楽の楽しみを発見することができたように思う。

 今回のオール野村作品による内容詳細は、小暮さんのレポートに詳しいのでここでは、第二部のトークを中心に報告する。

プログラムノートに代えて

(司会進行:S: 佐藤千晴/N: 野村誠 M: 松澤佑紗 E: エンリコ・ベルテッリ Y: やぶくみこ)

 常々、作曲家はどのように曲を発想するのか興味があった。今日は第一部で演奏された曲を例に、曲を発想するプロセスについてお尋ねした一部を紹介する。

S:  箏にひらがなで「りす」という文字を書くように演奏する動きが印象的な「りす」(2000年)という曲はどんな風に生まれた?
N:  (「りすが出来るまで」という分厚いファイルを取り出して)これは、当時USAのウェスリアン大学に留学していた箏曲家の水谷隆子さんからの依頼で作曲した時の文通の記録。もう電子メールもあったけど、あえて月1回、手紙をやりとりを続けた。手紙には、公園で拾った落ち葉が同封されていたり、日常の報告があったり。野村が作曲のスケッチを送り、水谷さんがそれを演奏した録音を送り返しと、やりとりするなかで作曲していきました。
「りす」がキャンパス内を走り回っている光景は、手紙のかなり早い段階で登場した。箏の絃の上で文字をかけば音楽になるし、「手紙」も「文字」も英語ではレターだから、いいかなと思って。

「世界は音楽であふれている」

S:  「音楽の未来を作曲する」(野村さんの著書)のなかの印象的なことば:世界は音楽であふれている」について、もう少し話してください。

N:  「今の音楽 居間の音楽」のタイトルは、ジョン・ケージの「Living Room Music」(Living Roomにあるモノで音楽を演奏したり、詩を分断してアンサンブルのようなことをする)からの連想した駄洒落です。ケージの本の日本語訳で、 Living Room Musicが「居間の音楽」と訳されているのを見て、アメリカのLiving Roomと日本の居間は違うよな、と思った。座・座の空間を見た時、ここなら「居間の音楽」でいけるなと。
ケージのような大先輩が、「世界は音楽であふれている」ということを、既に示してくれているのですが、森羅万象の世界の中で現代を生きる者として、今、何を注意深く見、聴き、それらを創造的な仕事に表現してゆくのか?そうした自分なりの視点(聴点)が重要になると、思います。

S:  ふだんの野村さんの活動を見ていると、子どもの声にしても普通のヒトの言葉にしても非常に注意深く聴き、返し、対話になっている。それでコミュニケーションの糸口を広げ、世界を変えてゆきたいということなのかな。

N:  はいそうです! (笑い)

S:  ナンでこういうことやっているんだろう、どうしてこういう音楽になるんだろうと、ワークショップに参加したり、話しを聞いたりするたびに思うんです。作品を発表して終わりなんじゃないんだなぁって。

作品は生き物・自分の手を離れて育ってゆく

N:  作品て生き物みたいなもの、だから作品を生むところまでは自分の仕事としているけれど、生まれたあとは一人歩きしてゆく。あるものは16歳になり、ある者は3歳、また全然とりあげられないものもある。でも自分の生み出した曲は自分の手を離れて、育っていく。育つだろうと思ったものがそうでもなかったりもする。
コンサートホールのような空間で聴くのと、こういう空間で聴くのとでは全く違うということを感じる。「りす」はここで、松澤さんに演奏してほしいなと思っていて、きょう初めて聴いた。(他で聴いたものと)まったく違った。

音楽と演奏者、作曲家と演奏者/作曲家にとってのいい演奏者とは

参加者Q:  音楽と演奏者、作曲家と演奏者は、別々に存在するのか?野村さんの音楽は、音楽と演奏者をわけてきいたことがなかったが、作曲者にとってのいい演奏者とはどんなヒト?作曲者と演奏者は明確にわかれている。

N:  自分のことをよくわかっていてくれる場合も、そうでない場合もいろいろあるが、
わかって寄り添いすぎるのも・・・。わかっていないからこそ、解釈の違いが生まれ、驚きがあり、作曲者の意図とは違った世界が生まれて来るのが望ましい。

参加者Q:  「せっしゃエンリコでござる」はエンリコでないとダメか?

N:  これはエンリコのために書いたもの。My name is Enricoを日本語で何と言うかと聞かれて、やぶさんが「拙者エンリコでござる」と教えた。以来、エンリコの自己紹介は、時代劇テイストなのです。そこを起点に言葉を分解し、連想し、展開し、座・座に関わるモノやことが繋がりできた曲。「エンリコ」でなければ、また違う曲が生まれる。

全体構図と即興

S:  即興は、全体の構図が決まっていてそこに入っていくのか? あるいは、すべてその場で生まれるものなのか?「テーブルデュオ」の場合は?

E:  どちらから始めるか、くらいしか決めていない。終り方も決めていない。

N:  即興は何も決めず、その場のお客さん、環境、などによって調整してゆく。事前に決めていると変えられないが、決めていないとまわりの音や空気感などに対応しやすい利点がある。決めていないとそういうことを自分のなかに取り込んでやれる。今日の演奏曲で、明らかに譜面みてやってない曲がある。一つは「まえまちアートセンター」、そして「手拍子のロンド」。
「まえまちアートセンター」は、「世界は音楽であふれている」の一つ。あらゆる言葉は楽譜である、その言葉の中に音楽の真理が隠れていると考えてみると出来る。

箏の松澤さん参加のきっかけ

N:  インドネシアから音楽家が来日した時、日本の音楽と触れる機会が必要ではと、東京芸大にかけあって邦楽専攻で即興が出来るヒトを探した。邦楽で即興に興味をもっているヒトがほとんどいない中で松澤さんが手を挙げてくれた。

S:  箏曲に即興はあるのか?

M:  ない。私は最初はピアノ、ヴァイオリンをやっていたが、箏に出会い、あれよあれよと言う間に魅せられた。大学の邦楽では即興は教えてもらわない。誠先生から誘われて一緒に演奏するようになり、「私がやりたかったことはこれだ」って気がついた。これは「運」だと思う。ピアノやバイオリンや古典で学んだことが全て活かされている感じがする。