古庭園大人ライブ VOL.25
カルテット チクルスⅤ
ベートーヴェン弦楽四重奏曲 全曲演奏会3
2015.05.24(日)14:00〜/17:30〜【お知らせ, 主催イベント, 大人ライブ, 記録・レポート】 sold out!!
2015年 5月24日(日) 14:00開演/17:30開演(2回公演)※開場は開演30分前
出 演:ZAZA Quartet(佐藤一紀 谷本華子 中田美穂 金子鈴太郎)
定 員:40名(各回)(全公演 完売! ※申込み終了いたしました。)
参加費:3,500円
主 催:元・正蔵坊と古庭園を楽しみ守る会
会 場:ながらの座・座
〒520-0035 滋賀県大津市小関町3-10(地図)
Tel&Fax: 077-522-2926 Mobile: 090-8576-7999(橋本)
会 場:ながらの座・座
申込み:下記いずれかの方法でお申込みください。
①お問い合わせフォームよりお申込みください。
メッセージ欄にご参加人数も合わせてご記入ください。
②FAX 077-522-2926 氏名/参加プログラム名/日時/連絡先/人数の記載必須
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主 催:一般社団法人文化農場(ながらの座・座)
後 援:滋賀県 滋賀県教育委員会 大津市 大津市教育委員会 文化・経済フォーラム滋賀
特別協賛:中山倉庫株式会社 滋賀石油株式会社
全曲シリーズも丁度折り返し一歩手前まで参りました。
今回はまず中期の『ハープ』を聴いていただきます。
この曲は三曲からなる、傑作ラズモフスキー群を抜けた後の力の抜けたというか、ホッとした雰囲気のある曲で、軽快で明るい曲想と、洒脱な可愛らしさのあるメロディーなど、ベートーヴェンのもう一つの面を垣間見るかのようなチャーミングな弦楽四重奏曲。
丁度『運命』の後の『田園』交響曲みたいなものに当たると言えば良いでしょうか。
地味でコンパクトな印象があるものの、緻密に練り上げられた、ベートーヴェンの中期から後期の簡素化された傑作群を想像させる、いわば中期と後期の懸け橋的な大切なものです。
それと今回のメインは、天才シューベルトをして『我々にはこの後どんな曲を書けば良いのだ』と言わしめた後期の、傑作第14番を演奏致します。
ベートーヴェンの人生がたっぷり詰まったこの作品に演奏者、そして演奏に立ち会う聴衆の皆さんと、この傑作が存在する事の喜びやその価値を分かち合いつつ、じっくりと美しさに向き合い、それらをかみしめる事ができたのなら、それは大変幸せな体験になることでしょう。
全曲シリーズもちょうど折り返し一歩手前まで来ました。
今回は中期の「ハープ」と、後期の傑作14番を取りあげます。
それと注目いただきたいのがフライヤーの写真。
サイトでは「縦長」になっていますが、実物は実は「横長」。
今回はいつもより大幅に制作枚数を増したので、京都・大津の主なホールでゲットしてください。
Special Report
フリージャーナリストの佐藤千晴さんがライブレポートを書いてくださいました。
Zaza Quartetの第3回ベートーヴェン・チクルスを聴いて
Zaza Quartetのベートーヴェン全曲演奏シリーズも3回目。今回は中期の第10番「ハープ」(1809〜1810)、そして死の前年(1826)に書いた第14番という重量級のプログラムが組まれた。
5月24日は気持ちよく晴れ渡った。去年のように庭園での野外演奏もあるかな......と期待したが、特に14番は長大な曲ゆえ、楽譜が風で飛ぶようなことがあってはならぬと慎重を期して屋内に。といっても庭園に面した掃き出し窓は開け放たれ、風を感じ、蛙の声を聞きながら開演を待つ。木漏れ日がまぶしい。
前半は第10番。「ハープ」はベートーヴェンがつけた副題ではなく、後年に生まれた愛称。第1楽章に出てくる弦を弾くピチカート奏法でのアルペジオが印象的な作品だ。
座敷の真ん中に4人が向き合う形で座り、観客がぐるりと囲む。第1ヴァイオリンは谷本、第2ヴァイオリンは佐藤。私は第2ヴァイオリンの背中まで1メートルほどの席。普通のコンサートホールでは奏者の背中を見て弦楽四重奏を聴くことはまずない。
のびやかに歌うような演奏だった。このシリーズはベートーヴェンの時代の響きを求めて4人そろってガット弦を使う。金属弦に比べて扱いづらいが、うまく生かせば演奏が生き生きとはずむ。回を重ね、扱いにも慣れてきたようで、安心して聴けた。4人が会話をするように音をやり取りする様子が見て取れ、ベートーヴェンがこの曲に凝らした細かい趣向が浮かび上がる。演奏家と観客がこれだけ近いからこそ体感できる。
後半は第1ヴァイオリンを佐藤に交代しての第14番。カルテットが目指す最高峰といわれる作品である。
ハイドン、モーツァルトの時代、弦楽四重奏は4楽章構成が普通だった。ベートーヴェンも初期はこの形式で書いた。が、晩年、さまざまに大胆なスタイルを打ち出す。第14番は全部で7楽章、約45分。奏者に「生きて帰ってこられるかどうか」と言わしめる緊張を強いる。長さだけでなく、深さにおいても。
さて、初めて最高峰に挑んだZazaは......やはり硬かった。でも頂上まで登った。きょうを出発点に、これから何度この最高峰を目指すか。楽しみに待とう。
ベートーヴェン・チクルスには終演後にも楽しみがある。滋賀短期大学の金丸正義教授と「ベーカリー塾」の学生たちの創作ケーキである。ベートーヴェンまたはZaza Quartetにちなんだものを、という厳しい条件がつく中、金丸先生の新作は......。
・ハンガリーワインのババロアを挟んだハート型のケーキ
・ウイーン風揚げ菓子 トッテンノッケル
・コーヒーのムースを挟んだ星形のケーキ
・オレンジ風味のチョコレートケーキ
ウィーンに暮らし、コーヒーやチョコレートを好んだベートーヴェンをイメージしたケーキのカルテット。さらに、ハート型は情熱的な谷本華子を、星型はロマンチックな雰囲気のヴィオラ中田美穂を、揚げ菓子は佐藤一紀の「ぼーっとした感じ」を、四角いチョコレートケーキはチェロ金子鈴太郎の「渥美清のような人情」をイメージしたという凝りよう。お見事。金丸先生のユーモラスな解説に笑い声が起きた。
回を重ねて熟してきたのは演奏だけではない。観客もまた座座という場に馴染み、それぞれの楽しみ方を見つけ、なんとも和やかな空気が育っている。
いい演奏会の記憶には、必ず客席の空気の記憶がともなう。1800人が同じように息をのんでオペラアリアに聴き入ったこと、見知らぬ人と「きょうは本当に素晴らしかったですね」と思わず握手したこと、終演後に「まっすぐ帰るなんてもったいない」とシャンパンで祝杯を上げたこと......。
この日の座座はそんな「記憶の宝石箱」に加えたくなる親密な空気に満ちていた。4人を囲むアフタートークもいきいきと弾む。和歌山から滋賀を「終の住処に」と移り住んだ女性は「金子さんの表情が良かった。目配せが」。「ヴァイオリンはチェロの3倍ぐらい弾いていますから」と佐藤が必死の演奏をアピールして笑わせる。「『ハープ』のピチカートを視覚的にも楽しめた」と話したのは浜大津の「モーツァルト・バー・キール」のマスター大矢敦さん。「演奏者と近いので息遣いも聞こえる。この距離がええんやね。チェロとヴィオラが支え、ヴィオリンがその上で踊っている構造がよくわかった」
座座には音楽専門ホールのような設備や音響はない。でも、音楽ホールでは滅多に味わえない楽しみがある。それは音楽を楽しむ場を共につくる喜び。音楽家が観客を刺激し、観客が音楽家を刺激する双方向性がくっきりと体感できる場なのである。
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