ながらの座・座

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大人ライブLive & Performance

古庭園・大人ライブ VOL.46

カルテットチクルスⅫ(最終回)
孤高の14番

2019.06.09(日) 14:00〜/17:30〜お知らせ, 主催イベント, 大人ライブ, 記録・レポートsold out!!

カルテットチクルスⅫ(最終回)

2019年 6月9日(日) 14:00開演/17:30開演(2回公演)*開場は開演30分前
交流会 19:30〜(別途申込み要)すべてSOLD OUT

2013年11月に始まったZaZa Quartet のコンサート
ベートーヴェンの弦楽四重奏全曲演奏と並びカルテットの名曲を取り上げる2本立てのシリーズで続けてきたプログラムの最終回です。
6年間の積み重ねから生まれる素晴らしい音を座・座で聴いていただける最後の機会、コンサート後の交流会にもぜひご参加ください。(2回目の後です)

曲 目:L.v.ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第14番嬰ハ短調 作品131
    シューベルト 弦楽四重奏曲第14番二短調「死と乙女」
出 演:ZaZa Quartet(佐藤一紀 谷本華子 中田美穂 金子鈴太郎)

会 場:ながらの座・座                               
定 員:各回40名(すべて完売)
参加費:3,500円(交流会参加は別途申込み要:1500円)

主 催:元・正蔵坊と古庭園を楽しみ守る会(ながらの座・座)
後 援:滋賀県 滋賀県教育委員会 大津市 大津市教育委員会 文化・経済フォーラム滋賀
協 賛:中山倉庫株式会社  あさ ひる 夕ごはん 豆藤

☞チラシ:PDFファイル [3.7 MB]

カルテットチクルスⅫ(最終回)

Special Report

 カルテット・チクルス最終回を聴いて
佐藤千晴(音楽ジャーナリスト)

 ベートーヴェンが6回、その他が6回。6年をかけたZAZA quartetの「カルテット・チクルス」が6月9日に完結した。締めくくりに彼らが選んだのがベートーヴェンの弦楽四重奏曲第14番と、シューベルトの第14番「死と乙女」。14番つながりの構成である。
 どちらも名曲、大曲(ともに演奏時間は40分ほど)、そして難曲。この2作品を続けて弾くカルテットはあまりない。メーンディッシュが2皿続くディナーのようなものだから。

 最初は「死と乙女」。切迫した激しいメロディーで始まる。4楽章すべてが短調のせいか、演奏する4人の気迫のせいか、聴く側にも緊張が高まり、音楽の流れに巻き込まれる。シューベルトはこの作品が初演されて2年後、31歳で世を去る。その短い生を慈しむかのような演奏だった。
 最晩年のベートーヴェンが自在の境地で思うがままに書いた......弦楽四重奏曲第14番はそんな作品だ。弦楽四重奏曲は普通、4楽章構成だが、この曲は7楽章。しかも長い楽章は14分近く、短い楽章は2分足らずと不揃い。それを約40分間、切れ目なく一気に演奏する。演奏前にメンバーがこの曲の特殊性を簡潔に話した。初めての人でもより楽しめるようにという配慮だ。
 ベートーヴェンのカルテット全曲演奏という長い旅の後、もう一度、旅の余韻にひたるように彼らは弾いた。チクルスが始まったころ、6年後なんて想像もつかなかったことを思い出す。座・座でベートーヴェンを弾くために集まった4人と一緒に、聴く人々も旅をした。
 アンコールはイギリスの作曲家ブリッジ(1879〜1941)の「ロンドンデリーの歌」。後半に日本でもよく知られるアイルランド民謡の調べがくっきりと聞こえてくる。歌詞をつけて「ダニー・ボーイ」としても愛唱されている。家を出た息子との再会を固く信じる親の心が綴られる。
 再会。それがチクルスの締めくくりにZAZA quartetが聴き手に贈ったメッセージだった。

 ながらの座・座は、370年余の歴史を持つ建物と庭園を、新たな文化をはぐくむ場として人々に開くという志でスタートした。様々な催しを重ねているが、年2回のこのチクルスが不動の「芯」だったと感じる。
 音が響かない木造家屋の和室、しかも池に面した湿気の多い環境で弦楽四重奏を企画するなんて、無鉄砲もいいところだ。が、このチャレンジにZAZAの4人は応えた。
 最終回のプログラムノートに佐藤一紀が書いているように「ひしめくお客さんの中に入って演奏する」空間では何も隠せない。現代の音楽ホールのように響きの良さに助けられることもない。そんな条件の下で、カルテットとしてのキャリアゼロだった4人が、扱いにくいガット弦で、ベートーヴェンという巨大な山脈を6年かけて踏破した。

 コンサートの準備をする人、座・座名物の趣向を凝らしたお茶とお菓子のサービスをする人、花を生ける人......ボランティアスタッフも増え、育った。楽しそうに動く彼ら彼女らがチクルスを支えた。
 演奏後のメンバーとの交流タイムも名物だ。最終回ではこんな質問も出た。「どうやってアンサンブルをつくるんですか?」
 新鮮だった。クラシックや弦楽四重奏をちょっと知っていると、こういう根本的なことを質問しようという発想を失ってしまう。そもそも、クラシックって、プレトークはあっても、音楽家と観客が話せるアフタートークがほとんどない。
金子鈴太郎が「楽譜の指定のテンポではなく、ゆっくり、ゆっくり弾くんです」など、丁寧に答えてくれた。演奏家がステージの上でなく、聴き手と同じ畳の上で弾く座・座だからこそ、こんなフラットな対話が生まれるのかもしれない。
 
 座・座とは「歴史的建造物と庭園」ではない。この空間と、ここで生まれる様々なコミュニケーションの総体こそが座・座である。ここに集まるすべての人々が座・座を育てる。そんなあり方こそが、主宰する橋本敏子さんが描く座・座の未来像ではないだろうか。

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カルテット・チクルス アーカイブ

2013.05.19 カルテット・チクルスⅠ「L.v.ベートーヴェン 弦楽四重奏曲演奏会1」
2013.11.10 カルテット・チクルスⅡ「色彩を纏った律動(リズム)」
2014.05.11 カルテット・チクルスⅢ「L.v.ベートーヴェン弦楽四重奏曲全曲演奏会2」
2014.11.29 カルテット・チクルスⅣ「無言の鎮魂歌(レクイエム)」
2015.05.24 カルテット・チクルスⅤ「ベートーヴェン弦楽四重奏曲 全曲演奏会3」
2015.11.15 カルテット・チクルスⅥ「L.v.ベートーヴェン弦楽四重奏曲全曲演奏会4」
2016.05.21 カルテット・チクルスⅦ「朝・昼・夜の四重奏」
2017.06.04 カルテット・チクルスⅧ「L.v.ベートーヴェン弦楽四重奏曲全曲演奏会5」
2017.11.26 カルテットチクルスⅨ「Lv.ベートーヴェン弦楽四重奏曲全曲演奏会6」
2018.06.03 カルテットチクルスⅩ「変容する闇の中で」
2018.11.18 カルテットチクルスⅪ「ベートーヴェン弦楽四重奏曲全曲演奏会Ⅶ(最終回)」