ながらの座・座

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大人ライブLive & Performance

古庭園・大人ライブ Vol.38

カルテットチクルスⅧ
L.v.ベートーヴェン弦楽四重奏曲全曲演奏会5

2017.06.04(日) 14:00〜/17:30〜お知らせ, 主催イベント, 大人ライブ, 記録・レポートsold out!!

カルテットチクルスⅧ

2017年 6月4日(日) 14:00開演/17:30開演(2回公演)
各回とも完売しました

曲 目:ベートーヴェン弦楽四重奏曲
     第12番 変ホ長調 作品127
     第9番 ハ長調 作品59-3『ラズモフスキー第3番』
出 演:ZaZa Quartet(佐藤一紀 谷本華子 中田美穂 金子鈴太郎)

会 場:ながらの座・座                               
定 員:40名(各回)各回とも完売しました
参加費:3,500円
申込み:お問い合わせフォームよりお申込みください。
    メッセージ欄にご希望の公演日時も合わせてご記入ください。

主 催:元・正蔵坊と古庭園を楽しみ守る会(ながらの座・座)
後 援:滋賀県 滋賀県教育委員会 大津市 大津市教育委員会 文化・経済フォーラム滋賀

☞チラシ:PDFファイル [1.3 MB]

カルテットチクルスⅧ

2016年はお休みだった弦楽四重奏曲全曲演奏会、今年は6月に変わって登場します。
ご予定よろしくお願いいたします。

Special Report

2017年7月4日 佐藤千晴(フリージャーナリスト)

 ZAZA quartetのベートーベン弦楽四重奏曲全曲演奏会もいよいよ後半、5回目を迎えた。2013年5月、まだカルテットの名前もなく、第1番でスタートしてから4年。扱いの難しいガット弦での演奏が定着し、昼夜公演とも完売が続く。4人のアンサンブルも成熟してきた。そして客席との一体感が心地よく育っている。

 快晴の6月4日(日)、午後5時からの演奏を聴いた。
 和室2室を開け放った長方形の空間、まんなかに演奏家たちが輪をつくり、その両側を座布団敷きの客席がはさむスタイルが定番。大半の観客は音楽家の背中と横顔を見ながら聴くことになる。

 1曲目は第12番。「全曲中、いちばん人気のない曲かもしれません」と、この曲で第1バイオリンを担当した佐藤一紀が演奏前に笑わせる。難しいのに地味だから、らしい。

 ベートーベンは1810年の第11番「セリオーソ」から約15年間、弦楽四重奏曲を書かなかった。ところが1825年の第12番を皮切りに、2年間で5曲もの作品を生み出す。1827年に56歳で亡くなっているから、まさに晩年の爆発だ。

 15年の空白の後の第12番は、11番と比べると「異次元の音楽」だという。難易度が飛躍的に高まり、4人の緊密なアンサンブルが必要。11番までに比べてあまりに複雑で作風が大きく変わったせいか、1825年3月6日の初演時は好評が得られなかったと記録が残る。

 などという前置きや知識なしに耳を傾けよう。ZAZAの演奏は、険しいけれど美しい山道へと聴き手を誘うようなスリルと楽しさに満ちていた。小さな空間だからこそ、苦労の跡を含めた機微が伝わってくる。
 このシリーズで、彼らは一貫して昔ながらのガット弦を使う。楽器や弓もベートーベンの時代を復元した「古楽器」での演奏は20世紀後半のトレンドとして定着した。が、古楽器の弦楽四重奏団はベートーベン後期の作品はあまり演奏しないようで、録音もきわめて少ない。楽器の性能を超えた音楽に突入してしまったのだろうか、楽聖は。

 後半は「全曲中、いちばん演奏回数が多いのではないか」という人気曲、第9番「ラズモフスキー第3番」。第1バイオリンは谷本華子。
 開放的なハ長調。第1バイオリンが王様で、ほかの3人は付き従う脇役になりがちだった18世紀までのスタイルを脱し、四つの楽器が対等に音楽を紡ぐ。演奏家が目配せしながら音を受け渡しする様子を目で追うのも楽しい。

 終演後のアフタートークでも客席から「チェロとビオラがアイコンタクトを取っているのが分かりました」と感想が出た。チェロの金子鈴太郎が「弦楽四重奏ではチェロが情報を出す役。ある意味で指揮者です」と答え、佐藤は「バイオリンはチェロやビオラよりずっと音符が多いから演奏だけで忙しい」と冗談を飛ばしつつ「カルテットはチェロがすべてを決めているといっても過言ではありません」。

 ラズモフスキーの第2楽章は、リハーサルやこれまでの演奏に比べてテンポが遅かったという。「これしかありえない」と、その場の直観で金子が引っ張った。第3楽章は逆にいつもより早め。「迷ったけれど、あのテンポで行こうと思った」とビオラの中田美穂。金子は「みんなが共感してくれたから成立した」と振り返る。アフタートークで、そんな裏話も聞けた。

 座・座はきわめて個性的な空間だ。音の響きは豊かではないし、外の音も入ってくる。鳥のさえずりや蛙の声は風情があるが、近くに大津赤十字病院があるので、救急車のサイレンが響くこともある。
 小さな座布団に座って聴くのも長時間になるとなかなか辛い(女性のみなさん、スカートは避けることをお薦めします)。天候も気になる。外気の影響を大きく受けるので、湿度が高いとガット弦の機嫌が悪くなり、演奏家も聴く側もはらはらする。あれもこれも、音楽専用ホールのようなわけにはいかない。
 けれど、風格のある家屋と庭園は魅力だ。そして座・座だからこそのライブ感があり、演奏家との交流がある。座・座は、この個性を愛する人々が集まり、共につくっていく場なのだと思う。

佐藤千晴(フリージャーナリスト)

深まる演奏 観客の方が持って来て下さったびわ(自宅の)

今回のスイーツ 演奏者の曲解説が聞けるのもここならでは

座・座的初夏:サルスベリの老木 ヒトそれぞれに。最高の鑑賞席

座・座の観客・ヤセ犬(<br />
   藤浩志作品) 「羅志具」。らしくと読む<br />
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