ながらの座・座

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座・座の7日間

Seven Days at ZaZa 1

吉田誠とともに──次世代のための木管楽器オープンセミナー

2017.03.27(月)- 4月2日(日)お知らせ, 主催イベント, 座・座の7日間, 記録・レポート

吉田誠とともに──次世代のための木管楽器オープンセミナー

2017年3月27日(月)〜2017年4月2日(日) 7日間連続
セミナースケジュール
 ・アンサンブル 10:00 / 11:30 / 13:30
 ・個別レッスン 15:00

講 師:吉田誠(クラリネット)
内 容:楽器の上達/アンサンブルの愉しみを学ぶ/呼吸法、響きを聴く、調性、リズムを知る、
    音程を知る/呼吸法、響きを聴く、調性、リズムを知る、音程を知る/作曲家を知る/
    楽曲の謎をひもといてゆく(曲の構成、作品に隠れている時代背景など)

会 場:ながらの座・座                               
定 員:アンサンブル・レッスン:約12グループ以内  個別レッスン:20名以内
参加費:アンサンブル・レッスン:1レッスン:1,000円
    ※聴講:1日500円
    個別レッスン:高校生以下500円/1回  18歳以上2,000円/1回
申込み:受講生は音源により審査致します。 ← 音源の事前送付も不要
    応募フォームからお申込みください。
申込締切:2017年3月10日(金) 必着 → 3月20日(月) に変更になりました
     音源の事前送付も不要

主 催:ながらの座・座(元・正蔵坊と古庭園を楽しみ守る会)
後 援:滋賀県 滋賀県教育委員会 大津市 大津市教育委員会

☞チラシ:PDFファイル [8.2 MB]

吉田誠とともに──次世代のための木管楽器オープンセミナー

Ensemble ZaZaのメンバーの吉田誠が自ら企画・提案するプログラム。
吉田が今まで体験してきた音楽する愉しみや歓びを、レッスンを通して参加者のみなさんに伝え、
「音への“感性”をより豊かにする」ことをテーマに、開催する密度の濃い7日間のセミナー。

Special Report

Seven Days at ZaZa『座・座の7日間』Vol.1-1(前編)
──吉田誠による次世代のための木管楽器オープンセミナー
2017年4月6日 橋本敏子(ながらの座・座)

『座・座の7日間』は、今回初めて行なうアーティスト・イン・レジデンスのプログラムだ。座・座の活動が6年目に入った頃から、ここだから可能な挑戦的な活動にもっとエネルギーを投入したいと考えるようになっていた。それでジャンルも世代も異なる友人たちと色々話し合ってだされたのが、「今まであり得なかった滞在型プロジェクト──Seven Days at ZaZa(『座・座の7日間』)である。

 座・座の環境にどっぷり身を置くことで初めてみえてくるもの、感じるコトを出演者も観客も一体になって受け止める"次世代の創造活動と新たな観客を育てる"を大きな目標に、思い切った挑戦、実験をやってみようという狙いだ。そのための時間として「1週間Seven Days」という身体化されたひと区切り、長からず短かからずの時間を想定した。
 第1号レジデント・アーティストはクラリネット奏者の吉田誠さん。誠さんは2013年から始まったEnsemble ZaZaのメンバーとしてすでに4回座・座を訪れていて、「座・座の環境と空気感が好き」だという。

 内容は7日間を通して次世代に(中・高校生中心)クラリネット・セミナーを行なうというもので、この企画も実は吉田さんからの提案だった。その理由は、こんなことだ。
 今まで座・座で行なった「公開リハーサル」や「ゲネプロ」に地元の中・高校生達が少人数だが参加してくれていて、誠さんにファンレターを渡したりなどささやかな交流が行なわれていた。一方、地元の中・高校生がナマの音楽に触れる最もポピュラーな機会はブラバン。なかでも滋賀県はブラバン王国と言われるほど盛んな地域。そんな次世代たちに、クラシックのオモシロさを知ってもらい、音楽する楽しみを体感して欲しいということだった。
 「クラリネットによる新たな表現世界を開拓している期待の大器」と評判の高い吉田誠さんが、耳の肥えた聴衆がいる大都市ではなく、なぜ地方都市の大津でこんな素朴なセミナーを行なおうとしているのか?しかもボランティアに近いかたちで。
 「次世代にもっと関心を持ってもらわないとクラシックの未来はない」「恵まれた環境に身をおくだけでなく、多様な環境の中で演奏家としての体験をしたい」と。その後のセミナーの現場を見ていると、この言葉は吉田のまぎれもない気持を現していることがよくわかる。

 セミナースタートまでのプロセスはここではパス。苦難の壁が聳えておりました。参加者は、中学生(14歳)から高校・大学(音楽科)まで。地元大津からの個人参加20名(延べ参加人数58名)や、学校への出前講座(ブラバンクラリネット17名)だけでなく、京都や宝塚などからも参加してくれた方もあって、これにはとても励まされた。
 さて、今回のセミナーはアンサンブルとソロの2種のレッスン。初めはおずおず音を出していた受講生達がみるみる変身してゆく様は、まるで魔法にかかったようだった。動画の撮影をしてくれていた友人は、受講生達の顔つきが明らかに変わってきたという。
 わかりやすい、優しい言葉で語ること、「基本のキ」を教え、リズムがとれない子には楽器を置いて一緒に踊って身体感覚を伝えるなど教えると同時に「楽しさ」に出会う体験を優先させ、結果として「考えて吹けるようになった」と多くの受講生達がアンケートに書いていた。
 また、受講しなくとも「聴講」を可能にし、普段の仲間以外のヒトのレッスンも見学可にした。
多分、このレクチャーには今まで学んだことのない新鮮な風を吹き渡らせたのではないかと思う。(続く) 
 このプログラムは、年1回・3年継続の活動として取組みたいと吉田誠さんは語っている。こういう志を実現してくれる演奏家がいることは、未来に灯りを見る思いだ。

──レクチャー前半のレポートはここまで。下記動画でも前半のレッスン風景をご覧になれます。
  後半のレポートはこちらへ☞


2017年4月6日 橋本敏子(ながらの座・座)

アンサンブルのレッスン。徐々に表情が柔らいでくる。 アンサンブルのレッスン。徐々に表情が柔らいでくる。

曲の構造の解説も アンサンブルのレッスン。徐々に表情が柔らいでくる。

アンサンブルのレッスン。徐々に表情が柔らいでくる。 アンサンブルのレッスン。徐々に表情が柔らいでくる。

撮影:Atelier KHRUA
Seven Days at ZaZa『座・座の7日間』Vol.1-2(後編)
──吉田誠による次世代のための木管楽器オープンセミナー
2017年4月29日 橋本敏子(ながらの座・座)

「大人のための座学」は、7日間のセミナーの一部として受講生以外の方にもクラリネットを知って楽しんでいただく機会をつくりたいという吉田の希望から行なったものだ。
比較的ポピュラーな楽器とはいえ、演奏を挟みながらクラリネットの歴史や、その発展のプロセス、楽器の特徴などを知るレクチャーは、普段聞けない話だけにとても興味深いものがあった。
 
 なかでもクラリネットの名曲の多くが作曲家の最晩年に書かれていることや、作曲家と演奏家の優れた恊働作業から生まれたものが多いこと、演奏者と楽器職人のコラボでクラリネットが進化し続けていることなどは、この楽器の柔軟さの要因がこんなところからも来ているのかと気づかされた。
 こういうレクチャーを聴き、参加者とのやりとりが行き交うのを聞きながら、少人数の親密な空間が生み出す幸せな時間を楽しんだのだった。

 いつも感じることだが、クラシックの愛好者の方々はなぜ決まった楽器以外のものに関心をもたれる方が少ないのかという疑問である。クラリネットのコンサートだと言うと、ではまたの機会に・・・と去ってゆかれる。知らないものに興味を持つヒトがこんなに少ないこと、またそれが必ずしも高齢層とは限らないこと。この傾向は、多分座・座の観客に限ったものではないと思う。
 これは必ずしも観客のアタマの堅さだけの問題ではない。多分、伝え方の問題、伝える相手との関係、そして何よりこういう場をつくろうとする多様な人びとがつながっていないことだ。

最終日、受講生たちと吉田誠さんも参加して簡単な終了コンサートを行なった。演奏したのはモーツアルトの「ディヴェルティメント 第4番変ロ長調K.186(159b)より。楽しそうに演奏する彼女達の姿も、音も、1週間前のとはすっかり変わっていた。
 予定では、2019年まで続けてこのセミナーを開催するつもりである。ここでの体験がどんな影響をもたらすのか。演奏家も主催者も、わくわくしながらで見守っている。

レクチャーの様子 座学の様子

撮影:Atelier KHRUA